なぜならば、足にとってどんな感じのものが、その用途でベストパフォーマンスを発揮できるか、初めての場合、よくわからないからです(クライミングシューズなんてその典型ですよね。最初はイタくて無理!って感じ)。
話を元に戻して。
ランニングシューズも、初めて選ぶ場合は意外に失敗するかもしれません。
キツすぎたり、ゆるすぎたり。どこか当たったり。
走ると、足が汗をかくほか膨張するので、お店でフィッティングしているときとはシューズを履いているときの感じが違ってきますから。
我流ポイントを記します。コンペティター(競技)向きの選び方ではなく、故障なく楽しく、少しずつでもよりよいパフォーマンスを発揮したい方用の選択方法です。
1 セールになっている。
→とくに1足めはハズレの可能性も大。単なる型落ち(古いモデル)だということでセールになっているシューズでもじゅうぶんなパフォーマンスを発揮します。ただし、大手の専門店でないと各社の初〜中級者のモデルをサイズ豊富に揃えてセールできないので、やっぱり最初は大手専門店に行かれることをお勧めします。余談ですが、先日、渋谷のODboxに行ったら、足のサイズをデジタル測定してシューズ選びのアドバイスをしてくれました。測定の順番待ちのあいだに選んだ1足と、データをもとにしたオススメのシューズが一致したので、経験もバカにならないものだと思いましたよ。そうそう、クッション部の素材が劣化している恐れがありそうなもの(色とか素材感でわかります)はパスしてくださいね。
2 メーカーごとの全体的なシューズの形の特徴を知る。
→限定的な印象ですからご参考程度に。アシックスとミズノは日本人の一般的な足の特徴をすごく研究していてよい。アディダスは甲が低く細い足向けが多い。こういうひとにとってはほかのメーカーの靴はガバッとした感じがするかも。ナイキも細いと思いますが拇指球(ぼしきゅう)部当たりからつま先に向けて一気にすぼまっていく感じがした。最近のモデルは買ってないので不明。ニューバランスはEEサイズはアディダスに似ていて、よりリラックスできる感じ。EEEサイズは未体験。
3 ソールのフォアフット部(ソールのくびれている部分から前側全体)が柔らかい。
→シューズの土踏まずあたりを片手で持って、もう片方の手のひらでシューズのつま先を圧してみる。フォアフット部が柔らかければ、あまり力を入れずにソールがきれいな弧で曲がります。ここが固いシューズはふくらはぎの筋肉を酷使するので、よほど脚力がないと履きこなせません。そのかわり、推進力はすごいかも。
4 軽い。 →あんまりぶ分厚いソールは重いし、推進力を殺すのでいたずらに筋消耗する感じがするな。軽さを選択の指標のひとつにするのはたいせつだと思います。ただし、体重があって運動をする機会をこれから作ろうというひとはクッション重視でよいと思います。
5 効果的なプロネーション対策をとっているか?
→生まれつきの骨格や股関節の固さ、習慣、経験の浅さなどによって足首が左右どちらかに角度をつけたまま着地してしまう場合があります。シューズによってはこうした着地によるダメージを軽減してくれる工夫をしています。普段履きの靴底をみて左右どちらかに目立った片減りがある場合は、シューズ選びのときにその靴を履いていって減り方を見てもらい、アドバイスをしてもらうとよいと思います。この場合は、シューズの値段にこだわらず、故障を予防するために投資してください。
ここまでは「外見」です。外見で選んだらいよいよ試し履き。
6 レースアップ(ひもを穴に全部通す)して両足履く。
→基本的には普段履きのサイズでまずシューズを出してもらいますが、こだわらずに。メーカーごと、モデルごとに同じサイズでも履き心地は若干異なります。ひもを全部通して両足に履いて店内を歩いてみて、もし違和感がなくてもつま先部を指で押して1cm弱の余裕があることを必ず確認します。走っているうちにほどけない靴ひもの結び方はここでマスター。
7 「いいな」と思ってもさらに念入りに。
→「いい感じ」と思ってもさらにハーフサイズ単位で前後のサイズのものを出してもらって試し、いま「いいな」と思ったものの感覚と較べます。専門店ならばいやがられません。
こうして買ったシューズでも、やっぱり合わないときがある。
そんなときは
8 インソール(中敷き)を交換する。
→どうしてもつま先部が詰まっている感じがするとき、より薄いインソールに交換することで改善することがあります。インソールは大事ですよ。
9 ソックスを替える。
→自分の場合、デュポン社のクールマックスという素材を使ったソックスを使ってマメがピタッとできなくなりました。ソックスの厚さを薄くしたり厚くしたり試行錯誤するほか、素材も重要! 綿100%はマメリスク大です。
10 切ったり、開けたり。
→荒技ですが、もしどうしても小指や親指などが当たってしまうようならば、その部分の表側のパーツ(足を保護するためにじょうぶな素材が使われている)にカッターで細かい切れ目を何本もていねいに入れることで柔軟性をもたせます。シューズ内にサイズ表示をしているタグがベロッと出ていて気になるような場合、切り落とします。シューレースをとおす一番最後の2つの穴の位置が微妙に気に食わなければ、千枚通しであらたに開け直します。長距離を走るときにつま先のベンチレーションを高めるためにも、千枚通しで穴を開けてみるのは有効です。どれも実際にやってみたことです。こうした加工でシューズがダメージを受けることもありますが、チャレンジしてみる価値はあります。
番外 どうしてもダメなときには友だちにあげる。
→万策尽くして普段履きにも耐えられないようなときには、仲間にあげましょう。ものも活きるし、友だちも喜ぶ。そして、気を取り直してブランニューなあなたの一足をまた買いにいきましょう! その経験は必ず活きますよ。
____________________________
写真のシューズは「八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン」で使用したもの。インソールを交換し、シューレースはショックコードを使ってランニング時の足のむくみを微妙に逃がすようにしました。このレースでは途中でシューズを交換できたので、前半のオフロードはこいつで、後半のオンロードは当時土踏まず部にカーボンを使っていたリーボックのシューズで快適に走りました。100km走ってもマメひとつできず、あと20kmくらい走りたいと思ったものでした。