静かな東京の夕暮れ。

藁葺き屋根がマンションに変わろうとも本質的に下の版画と変わらない風景。
川瀬巴水「馬込の月」。昭和5年の作。
いまの事務所はこの作品の舞台である大田区馬込からすぐそば。
自分にとっての原風景のひとつが、夕暮れ。
就職するまで練馬区で育ちましたが、この季節の夕暮れは道を歩く人もまばらで静かでした。

日曜日、日没後に恵比寿から目黒まで歩きました。
まだ6時過ぎなのに人気もなく静かでこころが落ち着きました。
冬枯れした木立越しの月に出会うと「ああ、これって懐かしい」と思えます。
21世紀になってもうだいぶ経つのに、東京といえども夕暮れに歩くとそんな感じがしません。
移り変わるものが多いなか、変わらない小景をひととき楽しみました。