十二ヶ岳の下りから望む西湖。 |
キャンプ客が多い10月の3連休でしたが、キャンプ場を経営するご夫妻様にはつかず離れずの適切な応対をしていただき、安心してキャンプを実施できました。
地球野外塾のすべての活動は私自身が事前に行ったことがある場所や、またはなにかの媒体で魅力的だと感じた土地を下調べしたうえで計画・実施されます。
活動候補地の下見をすると、それまでの知識を体験に置き換えることができます。
このキャンプの下見では生まれてはじめて西湖を訪れたのですが、なんとなくしっくりきませんでした。
自分の場合、土地がもつムードはとてもたいせつで、このムードが肌に合わないと活動そのものの成功イメージができないのです。
下見を終えて帰るときの西湖には、美しいながらも漠然とした疎外感を感じました。
その疎外感を払拭してくださったのが、下見後の問い合わせで電話口に出てくださった紅葉台キャンプ場の奥様でした。下見で訪れることができなかったのですが、これならだいじょうぶ、と活動のイメージがすべて組み上がりました。
キャンプ当日は、好天のもと静かな十二ヶ岳の山行を無事に終え、湖南岸を走る最終バスに乗って日が落ちた頃に紅葉台キャンプ場に到着。
送っていた荷物を受付に用意してくださっていて、むだなくテント設営に取りかかりました。
設営後、一段落して薪を求めに受付にいったところ、一日の受付業務を終えたご主人がいらっしゃいました。
お茶を出してくださって私もひと息ついたのですが、西湖の少し昔前の話をしてくださって、それがたいへん興味深かったです。
昭和46年までは西湖南岸の道がなかったため、その頃はキャンプ場へ樹海側から1時間以上かけて来なくてはいけなかった話、いまの文化洞トンネルは3代めできれいになったけれど、その昔はトンネル内に大きな岩が出ていていつぞやはそれがトンネル内に落っこちていた話、高校生のときには自転車で富士吉田まで毎日通っていた話、西湖から河口湖に向けて文化洞トンネルのなかをすごい風が吹くときがあって、そんなときは一向に前に進めなかった話など。
“山を想えば人恋し 人を想えば山恋し”
という名言があります。
思い起こせば自分もまた印象的な自然は、印象的なひととの関わりと繋がっています。
これから西湖のことを考えるとき、この日のことを思い出すことでしょう。