刃物扱いの大原則を共有。「まき割りからたき火料理」ほぼ無事終了。

1/19(日)、生活クラブ東京さんとの共催で、2家族5名のご参加者(うち小1女子1名、小6男子1名、中2男子1名)と1名のスタッフあわせて6名で「まき割りからたき火料理」を実施し、ほぼ無事終了しました。
ほぼ、の理由は、パエリアの具材を切っている時、小1女の子が左手親指の先を少しだけ切ったからです。止血後に水絆創膏で対処しました。

まき割りの小気味よい楽しさ・まきがどんどん作り出される喜びを分かち合いたかったのですが、ご参加者数を省みて、こうした魅力を伝える力が不足してました。
この日はまき割りを通じて刃物扱いの大原則をお伝えしたので、それをお伝えします。

まき割りは、まず大きな材を手動油圧まき割り機で割りました。
これ、電気がいらなくて安全にまきを割れる便利な機械です。

大きな材を1/2または1/4にしたら、次にナタとナイフを使ってたき火で使いやすいようにさらに小さくしました。
作業の流れは、手動油圧まき割り機とナタやナイフでのまき割りを並行して時間短縮しました。
小6君や中1君がナタを持ってても私が不安を感じなかったのは、ナタの重さを感じさせなかったうえ、慎重な取り扱いをしていたからです。

バトニングも子供たちはすぐにコツを飲み込み、安定してました。
バトニングで使ったナイフはナタに比べてうんと軽いので、小1の女の子も扱えました。いちばん上の写真は彼女がバトニングをしているところです。
わずか1時間でぐっとじょうずになったんですよ。

使ったナイフはシースナイフという種類のひとつで、刃渡りは13.7mmあるから一見すると大きいです。
しかし、ハンドルからナイフの背までが一直線だから扱いが素直なうえ、構造が丈夫で大型ナイフをはじめて使う人でも壊れにくいのが長所なので、この日の作業にぴったりでした。

みなさんが作ったまきは、ちょうど1時間で7束ぶんくらい。
予想以上に時間対効果がよかったです。
まきを割りながら「腰がいてえ〜(小6君)」とか聞こえて来たので、ふだんやらない動きはキツいよね… なんて思ったり。

まきができたら、そのまきを使ったたき火とパエリア作り。
忙しかった…。
この日のまきは乾燥しきっていなかったので煙が多く、安定した炎になるまでみんなゴホゴホしてました(笑) 
でも割ったまきや煙の香りが、たき火に興を添えてくれます。

別にスープを作るため、即席トライポッドが欲しいので前活動でトライポッドを作った小6君へ、この日彼と一緒だったお兄さんに「トライポッドの作り方を伝えてふたりで作る」ようお願いしました。
だいぶ忘れていたため助太刀しましたが、製作のひとつのポイントとなるクローブヒッチを正しく使っていたので、まあよしとしましょう。

さて、パエリアは…
中学生になってめっきり口数が減った中1兄貴が、ボソっと
「おいしい… 」
といいながら、お焦げになったところ以外を食べ尽くしてくれ、完食となりました。

いや、本当においしかったです!
自宅の庭でやりたいくらい…
たき火で作ったら、通報されちゃいますね。
いろいろな具材を試してパエリアをもっと作ってみたくなりました。
最後に、危険を避け、事故を予防する話に戻りましょう。
この日、みなさんにお伝えしたのは、刃物はひとりで扱うという大原則。
たとえば、ナタで木を割ろうとするとき、 A君が押さえてB君が切る、なんてのは事故の元。
ナイフをA君がB君に手渡しするというのも事故の元。
こういうときは、いったんA君がナイフをどこかに置いてB君がそれを取る、という段取りにしましょう。
ハサミの手渡しはけっこうやることですが、万一手渡し時に失敗して落としても、ナイフのような危険がないからです。
でも、裁ちばさみのように重量があるものは、ナイフと同じように扱うとよいでしょう。

どうしてもこの大原則から外れることがあります。
そうしたときは心の片隅で事故がおきる恐れがあることを認識して、凡ミスを防ぐよう最善を尽くしてください。

続けて、火に関する大原則2つ。
たき火のそばではあぐらをかいて座らないこと。
上写真の小6君のように座っていれば、たとえば火がついたまきが崩れてきたり、火にかけた鍋がひっくり返りそうになってもパッと後ろに飛び退くことができます。
あぐら座りだと絶対に逃げられないのです。

次に火の扱いは軍手をはめること。
木は燃えたり熱せられたりした時、火や煙がたつので「熱いかも!」とわかりやすい。
金属は熱々になっても色も形も変わらないから厳重注意。
軍手をはめて備えましょう。
化繊混紡の軍手は溶けるので不適です。

この日お伝えできた減災に役立つ知恵は、新たなケガを予防する刃物と火の扱い方法でした。
被災時は医療機関が大忙しになるのでケガを極力予防する必要があります。是非覚えておいてほしいです。
人類が刃物を古くから使った理由は、おそらく人類の肉体的な限界を刃物が切り開いてくれたからだと私は考えます。
口に入りきらない大きなものを切って食べる、とか、木やつるを切って部材として活用する、とか。
考えてみれば、刃物を使えば人力で木を割ることができるって、すごいことだと思います。
刃物がなければ、絶対に歯が立たないですよね。
でも、刃物があれば、歯が立つんです。

ご参加いただいたみなさん、そしてキャンプ場のスタッフのみなさん、本当にありがとうございました。