従来は共有に意味がないと思っていた運営の雑事情を「野外塾+(プラス)」として事実ベースでつづります。
5回目は「私たちNPOと人の関わり」について、私(海老澤)の言葉と見解で、わかりやすさを念頭に置いて記します。
記述中、例示の範囲が狭いきらいがございますが、例示の役割は概念的なことを身近なことに置き換えることにあると考え、ご了承ください。
私たち小さなNPOに関わる方々との関係をかんたんな図にしてみました。
以下、「ライフジャケット普及啓蒙と子どもの水死ゼロを目指す」私たちの目標、ひいてはそうした一つひとつの目標が集約されて達成できる「自然の中で自分の身を守りながら、自然から得た体験を日常に応用できる人を育てる」私たちの理念を例にとって説明しますね。
NPOの理念へと至る手段として、私たちは事業と情報提供を継続しておこなっています。
その過程で、たまたま私たちを知って興味をもっていただいた方々が図中の「気にとめてくださる方々」になります。
そうした方々が、たとえば私たちの発信が契機になってライフジャケットをお子さんのためにご用意した… ならば、活動へのご参加がなく互いに面識がないままでも私たちの目標や理念への一歩を共に歩んでいただけたことになります。
記事冒頭の写真は、2019年6月に開催された第10回新宿子育てメッセで、私たちのブースに並んでくださったご家族です。
この日、親御さん自らライフジャケットを自分のお子さんに着せていただき、着用のポイントと適正サイズの選び方などをアドバイスしました。
100組以上のご家族とは一期一会でしたが、こうした機会もまたNPOにとっては大切だと考えています。
営利企業だと、こうした機会や情報提供しているブログへの訪問者をなんとしてでも自社製品の購買者にするために腐心します。
私たちはむしろ、こうした方々のうちどれだけの方が行動を変えるか、に注目していますが、それを追うのは困難なのが現状です。
さて、気にとめてくださった上に実践をご希望されて私たちの事業にお申込いただいた方々が図中の「事業に参加してくださる方々」になります。
ライフジャケットを用いた親水活動では、ライフジャケットの具体的な活用法と効果を実地で体験していただけます。
私たちの親水活動にご参加いただけた方が、自分の友だちや仲間に対して別の親水機会にライフジャケット着用を勧めてくれるケースがよくあります。
私たちがリーチできなかったところで私たちの代わりに啓発を担ってくれるので、課題解決が早まる効果が生じます。
そうしたご参加者やそのご家族から、今度は運営に関わってくださる方が現れたりします。
そう、図中の「運営にかかわってくださる方々」です。
2020年には、次のような方々がNPOの運営に議決権をもつメンバーとして新しくご着任くださいました。
・成人した元ご参加者
・元ご参加者のおかあさま
・活動実施時の元サポーター様
また、日常業務に対してサポートを申し出てくださる元ご参加者や「ときにはボランティアスタッフ・ときには参加者」というように柔軟に私たちと関わってくださる方もいらっしゃいます。
NPOと人々とのこうした関わりにとって追い風になるのが「協働団体様やご協力者様」です。
図中でクラウドアイコンのように記している理由は、年度ごとに更新されるご協力だったり、ご協力者様のご都合に左右されるスポット的な追い風となることが多いためです。
上記のような例をつうじて改めて実感するのは、NPOと人との関わりあい方は多様性があることです。
いっぽうどこか脆弱な感がつきまとうのも事実で、私たちには深い充足感を供与できるかどうかの力量が問われます。
関わり合いに強さをもたらすために、関わった方々からご提供していただいたお金や時間を、応用・再現可能なノウハウや、関わり合いにおけるやりがい・満足感といった別の成果としてお返しできますように努めています。
私たちはいまなお完成・成熟したNPOではありません。
完成されたものが持つ安定感を求める方よりも、関わり合いで変わりゆく「かもしれない」ワクワク感を楽しむ方にとってはもってこいです。
みなさまと課題感をともにしながら、時代のニーズに合わせて最適な解決法を模索しつつ、ごいっしょに少しずつ成長しながら基盤を強くしていきたいと願っております。
その過程で、図中の「接点はないけれど知ってもらえたら生活の中で役立ててもらえるかもしれない方々」に、さまざまな方法で訴求し続けていくことが大切だと感じています。
引き続き、よろしくお願い申し上げます。